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世の中、パティシエやショコラティエが作るもの以外にも、
いろいろな菓子が存在する。
しかも、国内の菓子市場では、その“いろいろな菓子”たちが、
我々が作るケーキよりも、はるかに大きなビジネスを動かしていたりする。
スーパーなどで売られているスナック菓子もそのひとつだ。
最近、とある雑誌から「シェフのお気に入りスナック菓子は?」という取材を受けた。
私は待ってました!とばかりに、比較的新しいお菓子では「うまい棒」と、
往年の定番として「カール」の名前を挙げた。
まず「うまい棒」は、あのサイズに秘密がある。
長さ10cmほどのコーンパフ・スティックには、
辛子明太子、塩牛タン、サラミ、チョコレート…多彩な味のバリエがある。
しかも、その味付けは濃厚ではっきりと素材の味が感じられ、
勢いですぐに食べ切ることができる「1本完結型」である。
そしてもう一本…そうなった時は、また別の味を食べてみたくなるのだ。
一方、私の昔からの大好物「カール」は、
それとは対照的に大きな袋入りで、なおかつ味付けも薄め。
しかしながら、気がつけば1袋があっという間にカラッポ。
同じ味が続いても決して飽きさせない、あの功名なトリックは脱帽モノだ。
これぞ「1袋完結型」の名作といえよう。
キャトリエンム・ショコラのさまざまなボンボンショコラは、
まさに「うまい棒」的「1本完結型」の商品だ。
ボンボンショコラはどれも、カカオやガナッシュの素材の
特徴を際立たせた、個性的な味わいのラインナップ。
味わいも濃厚で一口で食べられるが、
1個食べたら、また別の味が食べたくなる…
偶然ではあるが、そんな点も「うまい棒」とよく似ていると思う。
それに対し、スポンジ菓子の「SOU」やサブレの「MADOKA」は
「カール」的「1箱完結型」の商品。
これらの商品は一箱に何個かが詰め合わせになっており、
実際にすべて食べ切るお客様はあまりいらっしゃらないとは思う。
しかし、1個だけでは少し物足りず、2個ぐらいは手が伸びてしまう。
そして、同じ味が続いても決して飽きることなく食べられる。
日本人なら誰でもが好むミルクチョコレートの味わいをベースに、
適度な甘さ、後を引く食感をともなって、
ついつい同じ味を重ねてしまうのだろう。
また、パティスリーを代表するお菓子である
「小山ロール」も、「1箱完結型」。
卵を効かせたスポンジ、生クリーム、カスタードクリーム、
そしてアクセントの栗。
一本を一気に平らげる勢いで食べていただきたいと、
シンプルかつプレーンな素材を組み合わせて、
あっさりと食べ飽きない味わいを実現している。
仕事の合間、若いスタッフがコンビニで買って来た
流通系の菓子をつまみながら、私はいつも考える。
ヤメラレナイ、トマラナイ、この秘密はいったい何なのだろう?
我々も新商品の開発には多くの試行錯誤を繰り返すが、
この国民的アイドルのようなお菓子たちには、
きっと気の遠くなるような研究と努力と失敗と成功の
ストーリーがあるに違いない。
「誰からも好かれる味」「飽きさせない味」というものを
これほどまで高い精度で実現することは、非常に難しいのだ。
こうした流通系の菓子と、我々パティシエが作るお菓子は、
材料、作り方などにそれぞれのノウハウがあり、
並べて比べることはできないものなのなもしれない。
しかし、私は1袋100円ちょっとの流通系の菓子に秘められた
ダイナミックな着目点や、斬新なアイデアに、
いつも刺激を受け続けているのだ。
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